介護分野における実際的な求人状況

介護は社会的に役割が大きい一方、慢性的な人材不足が続いている。とかくその原因が議論の俎上に上りやすいが、求人との関係から実際にどういった状況を呈しているのかを具体的に把握することも重要である。

まず、介護分野における有効求人倍率と失業率の相関などを示した厚生労働省発表の「職業安定業務統計」と、総務省発表の「労働力調査」を紐解いてみると、全産業と比較して介護分野の有効求人倍率が2倍に達している一方で、失業率の低下に対応する形で介護の求人が増加していることがわかる。前者からは介護分野の深刻な人材不足が読み取れ、後者からは人材供給が滞っている状況が看取できる。一方で、2025年には40万人以上の高齢者が介護を受けられないという推計が出されている。介護における人材不足は根本的な対策が必要なことは明白であると言えよう。

さらに地域別で見てみると、さらに状況が複雑化してくる。近年の介護分野の地域別有効求人倍率を見てみると、九州などは全国平均よりも有効求人倍率が低い一方で、関東、特に東京の有効求人倍率は4倍にも達するという驚異的な数字が出されている。これによれば、東京では4人介護職員の求人を行っても1人しか集まらないということになり、都市部ほど人材不足がより深刻であることを物語っている。高齢者個人のレベルで言えば地方で介護を受ければ良いということになるが、介護はそれに携わる人全てが社会的にサポートしなければならないことであるため、事はそう単純には済まない。早急な対策が求められているのだ。人材不足の業界には沢山の可能性が秘められているからこそ、きちんと向き合うべきなのである。

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